「New York: An Architectural History」- 壮大な都市の進化と変容を描き出す、建築史の傑作!

ニューヨーク。自由の女神がそびえ立ち、タイムズスクエアのネオンが煌めく、夢と希望に満ちた大都会。その歴史は、単なる都市の発展史ではなく、建築様式の移り変わり、社会構造の変化、そして人々の生活を映し出す鏡でもあります。
今回ご紹介する「New York: An Architectural History」は、まさにニューヨークの建築史を網羅した、建築愛好家必読の一冊です。著者のリチャード・メイヤーズは、コロンビア大学の建築歴史学教授として長年、ニューヨークの都市景観を研究してきました。彼の深い知識と情熱が、この本に込められています。
時代の移り変わりに合わせた建築様式
本書では、17世紀のオランダ植民地時代から現代まで、ニューヨークの建築史を時代別に分けて解説しています。それぞれの章には、当時の社会状況や建築技術、そして代表的な建築物とその設計者についての詳細な記述が盛り込まれています。
例えば、19世紀初頭の「グリーク・リバイバル」様式は、ギリシャ神殿を模倣した壮大な公共建築物が多く建設された時代です。この時代の象徴とも言えるのは、ニューヨーク公共図書館のメインブランチです。重厚な石造りのファサード、堂々とした列柱、そしてギリシャ神話の彫刻が施された装飾は、当時の人々の理想と美意識を体現しています。
一方、20世紀初頭には「アール・デコ」様式が流行しました。この様式の特徴は、幾何学模様や大胆な装飾、そして新しい素材の使用です。カイザー・ビルディングやエンパイア・ステート・ビルのような摩天楼が、ニューヨークの街並みを大きく変え、世界中に衝撃を与えました。
詳細な図版と見やすい構成で読み応え抜群!
「New York: An Architectural History」の魅力は、詳細な解説に加えて、美しい写真やイラスト、建築模型の図などが豊富に掲載されている点にあります。これらの視覚資料が、当時の建築物をよりリアルにイメージさせてくれるだけでなく、建築史を学ぶための貴重な教材としても役立ちます。
また、本書は時代ごとに章分けされており、各章には地図や年表も掲載されています。これにより、ニューヨークの建築史の流れを全体像として把握しやすくなっています。さらに、建築用語の解説や参考文献リストも充実しており、初心者にも読みやすいように工夫されています。
時代 | 建築様式 | 代表的な建築物 |
---|---|---|
17世紀 - 18世紀 | オランダ植民地様式 | セント・ポールズ・チャーチ |
19世紀初頭 | グリーク・リバイバル | ニューヨーク公共図書館 |
19世紀後半 | ビクトリア朝ゴシック | トランプ・タワー |
20世紀初頭 | アール・デコ | カイザー・ビルディング |
20世紀後半 | モダニズム | ロックフェラーセンター |
21世紀 | サステイナブルデザイン | ワン・ワールド・トレード・センター |
まとめ
「New York: An Architectural History」は、単なる建築史の書籍ではなく、ニューヨークという都市の進化と変容を体感できる一冊です。美しい写真とイラスト、そして分かりやすい解説を通して、建築に興味のある方だけでなく、ニューヨークの魅力を知りたい方にもおすすめです。この本を読み終えた後には、きっとニューヨークの街並みを今まで以上に深く理解し、楽しむことができるようになるでしょう。
さあ、あなたも「New York: An Architectural History」で、ニューヨークの建築史の旅に出かけましょう!